あの大手企業“レオパレス21”からの一方的な賃料減額
施工不良問題で債務超過が拡大していると報道されているレオパレス。
サブリース契約(※)を締結する不動産オーナーに対して突然、賃料を減額請求するケースが相次いでいます。
(※)サブリース契約とは
オーナーが所有する賃貸物件を不動産会社が一括借上をし、借主に転貸するとこといいます。
レオパレスとのサブリース契約に悩むAさん
土地のオーナーであるAさんは約10年前にレオパレスから、アパート建築の話を持ち掛けられました。
先祖代々受け継いだ土地にローンを組んでアパートを建て、レオパレスとサブリース契約を締結。
ローンの返済はあるものの、レオパレスとのサブリース契約で30年間の家賃が保証されていると信じていたAさん。
契約内容は、初めの10年間は契約当初と変わらない賃料が約束されたうえで、10年後以降は協議のうえで見直しをすることがある内容になっていました。
施工不良問題が明るみに
約8年間にわたって約束された賃料収入を得てきたAさんでしたが、2018年4月に表面化した施工不良問題に関するレオパレスの報道は寝耳に水でした。
うちのアパートは大丈夫なのだろうか。
担当者に連絡を取るも、空き室の時しか施行状態を確認できないが、不良個所は今のところ確認できていないとのこと。
安心したAさんに担当者は、さらに合意書を差し出しました。
合意書では施行不良問題でオーナーに迷惑が掛かっていることを踏まえて、賃料の見直しは2年間行わない旨の約束をしてくれたのです。
少なくとも自分には影響がなさそうだと安堵していたAさん。
合意書がなかったことかのような減額の要求
レオパレスから賃料増額の申出があったのは、合意書を交わしてから約1年後のことでした。
急に近隣アパートとAさんのアパートの賃料を比較した資料などが、レオパレスからAさんのもとに届くようになりました。
届いた書類には「賃料適正化」などと書かれ、Aさんと締結している賃料が不相当であるというものでした。
その後、担当者からメールが送られてくるようになり、メールにはあくまでも話し合いのうえで賃料額を改定したいと書かれていたので、Aさんもそのつもりで近隣のアパートを調べてみることに。
某不動産サイトで周辺の似たような物件を検索すると…
他のアパートと比べても、賃料が特に高くないと考えたAさん。
その旨を担当者に連絡しましたが、担当者は一律に検討をお願いするばかりで聞く耳を持ってくれません。そして10万円の賃料減額を要求してきました。
これによると賃料は現状から4分の1も減ることになります。
理由を問いただすAさんに対して担当者は、あくまでも周辺相場を踏まえてという抽象的な説明しかありませんでした。
レオパレスが作成した周辺の賃料が書かれた資料についても、説明はなく、本当に周辺の賃料が下がっているかはわかりません。
レオパレスの経営悪化が影響なのではないか。
自分の物件も施工不良個所があるからなのか。
Aさんの問合せに対して、担当者はあくまでも周辺相場から鑑みての申出である旨の紋切り型の対応を繰り返すばかりです。
最終的にレオパレスのとった行動
1年前の賃料維持の合意を翻すばかりか、あまりにも大きい減額申出に戸惑うAさんに、今度は内容証明が届きました。
内容は一方的に、賃料を減額する旨の通知で、次回の賃料からはレオパレスが主張する賃料しか払わない内容の通知です。
メールで担当者は話し合いを求めていたはずが、最終的には何の説明もすることなく減額した賃料を振り込んできました。
賃料の改定について当事者の合意が得られない場合、賃料の増減額を申し立てる調停を起こすことになりますが、そのつもりもレオパレスにはなさそうです。
リーガルコストもかけずに直近の合意も破棄して、レオパレスが一方的に主張する賃料しか払わない。
これでも東証一部上場企業ですから吃驚せざるを得ません。
オーナーは減額を受け入れるしかないのか
賃料減額の申し出や問い合わせに対する回答などは、全て「一律」の対応のようです。
文面も含めて全く同じものが、全国津々良浦の各オーナーに送付されているのが確認できました。
つまり、レオパレスとのサブリース契約に悩むオーナーが多くいるということです。
レオパレスの邪険な対応に対して、オーナーはコストをかけて不動産鑑定をし、調停を起こし、不成立ならば裁判を。
そうしなければ、減額を黙って受け入れるしかありません。
「大変だが筋を通すしかない。ここで言いなりになれば、減額要求が今後も頻発することになるでしょう」
レオパレスからの賃料収入がいきなり約7割に減ったAさんですが、アパート建築で利用したローンはこれからも同じ条件で払わなくてはなりません。
果たして、賃料減額の本当の理由はどこにあるのでしょうか。
施行不良問題で経営難に陥ったレオパレスですが、しわ寄せは、全く落ち度がないオーナーに来ているようです。