不動産売買において損害賠償を請求する場合、実際に損害額を計算するといくらになるのかについて考えます。
不動産売買においての損害賠償には、範囲や額において、さまざまな問題があります。
相手に落ち度があった場合でも、こちらにも落ち度があった場合、損害賠償額に反映されて減額をされることになります。被害者に過失がある場合でも加害者に全責任を負わせるは理不尽であるため、被害者の過失を考慮して損害額の算定をすることを過失相殺といいます。
事例は少ないですが、物的損害以外にも、精神的苦痛を与えられたとして慰謝料を請求することを検討する場合があります。
そのほかにも損害賠償額を請求するのに弁護士を使った場合、弁護士費用まで含めて請求できるかという問題もあります。
損害賠償額の予定
不動産売買の契約では、当事者の一方が債務を履行しないトラブルに備えて、事前に損害賠償の金額を取り決めておくことがあります。このように予定された賠償額のことを「損害賠償額の予定」といいます。
実際の損害額が、予定されていた賠償額よりも少ない場合であっても、債務者には予定された賠償額を支払う責任が発生するので、過剰な支払いとなる可能性があります。
このように、当事者の一方が不利なものとなる可能性があるので、宅地建物取引業法では、宅地建物取引業者が売主となる宅地建物の売買契約においては、損害賠償額の予定と違約金との合計額が売買代金の2割を超えてはならないと定められています(宅地建物取引業法第38条)。
「違約金」と「損害賠償額の予定」は、債務を履行しない当事者が支払う金銭という意味ではよく似ているが、「違約金」は、実際に損害が発生しない場合でも支払いの義務が生じるという点で「損害賠償額の予定」と大きく異なっています。