このような建物の賃貸借に対しては、どのような法律の規定が適用されるのでしょうか

このような建物の賃貸借に対しては、どのような法律の規定が適用されるのでしょうか

○賃貸借(民法601条~621条)
○借地借家法(民法の特別法)

これらの法律の関係は、特別法である借地借家法が優先して適用されることとなります。つまり、借地借家法こそが最も重要な法律となります。

民法601条(賃貸借)
 賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。

民法602条(短期賃貸借)
 処分につき行為能力の制限を受けた者又は処分の権限を有しない者が賃貸借をする場合には、次の各号に掲げる賃貸借はそれぞれ当該各号に定める期間を超えることができない。
3号
建物の賃貸借 3年

民法603条(短期賃貸借の更新)
 前条に定める期間は、更新することができる。ただし、その期間満了前、土地については一年以内、建物については三箇月以内、動産については一箇月以内に、その更新をしなければならない。

民法604条(賃貸借の存続期間)
賃貸借の存続期間は、二十年を超えることができない。契約でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は、二十年とする。
2  賃貸借の存続期間は、更新することができる。ただし、その期間は、更新の時から二十年を超えることができない。

第二款 賃貸借の効力

民法605条(不動産賃貸借の対抗力)
不動産の賃貸借は、これを登記したときは、その後その不動産について物権を取得した者に対しても、その効力を生ずる。

民法606条(賃貸物の修繕等)
賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。
2  賃貸人が賃貸物の保存に必要な行為をしようとするときは、賃借人は、これを拒むことができない。

民法607条(賃借人の意思に反する保存行為)
賃貸人が賃借人の意思に反して保存行為をしようとする場合において、そのために賃借人が賃借をした目的を達することができなくなるときは、賃借人は、契約の解除をすることができる。

民法608条(賃借人による費用の償還請求)
賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができる。
2  賃借人が賃借物について有益費を支出したときは、賃貸人は、賃貸借の終了の時に、第百九十六条第二項の規定に従い、その償還をしなければならない。ただし、裁判所は、賃貸人の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる。

民法609年(減収による賃料の減額請求)
収益を目的とする土地の賃借人は、不可抗力によって賃料より少ない収益を得たときは、その収益の額に至るまで、賃料の減額を請求することができる。ただし、宅地の賃貸借については、この限りでない。

民法610条(減収による解除)
前条の場合において、同条の賃借人は、不可抗力によって引き続き二年以上賃料より少ない収益を得たときは、契約の解除をすることができる。

民法611条(賃借物の一部滅失による賃料の減額請求等)
賃借物の一部が賃借人の過失によらないで滅失したときは、賃借人は、その滅失した部分の割合に応じて、賃料の減額を請求することができる。
2  前項の場合において、残存する部分のみでは賃借人が賃借をした目的を達することができないときは、賃借人は、契約の解除をすることができる。

民法612条(賃借権の譲渡及び転貸の制限)
賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。
2  賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。

民法613条(転貸の効果)
賃借人が適法に賃借物を転貸したときは、転借人は、賃貸人に対して直接に義務を負う。この場合においては、賃料の前払をもって賃貸人に対抗することができない。
2  前項の規定は、賃貸人が賃借人に対してその権利を行使することを妨げない。

民法614条(賃料の支払時期)
賃料は、動産、建物及び宅地については毎月末に、その他の土地については毎年末に、支払わなければならない。ただし、収穫の季節があるものについては、その季節の後に遅滞なく支払わなければならない。

民法615条(賃借人の通知義務)
賃借物が修繕を要し、又は賃借物について権利を主張する者があるときは、賃借人は、遅滞なくその旨を賃貸人に通知しなければならない。ただし、賃貸人が既にこれを知っているときは、この限りでない。

民法616条(使用貸借の規定の準用)
第五百九十四条第一項、第五百九十七条第一項及び第五百九十八条の規定は、賃貸借について準用する。

第三款 賃貸借の終了

民法617条(期間の定めのない賃貸借の解約の申入れ)
当事者が賃貸借の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合においては、次の各号に掲げる賃貸借は、解約の申入れの日からそれぞれ当該各号に定める期間を経過することによって終了する。
一  土地の賃貸借 一年
二  建物の賃貸借 三箇月
三  動産及び貸席の賃貸借 一日
2  収穫の季節がある土地の賃貸借については、その季節の後次の耕作に着手する前に、解約の申入れをしなければならない。

民法618条(期間の定めのある賃貸借の解約をする権利の留保)
当事者が賃貸借の期間を定めた場合であっても、その一方又は双方がその期間内に解約をする権利を留保したときは、前条の規定を準用する。

民法619条(賃貸借の更新の推定等)
賃貸借の期間が満了した後賃借人が賃借物の使用又は収益を継続する場合において、賃貸人がこれを知りながら異議を述べないときは、従前の賃貸借と同一の条件で更に賃貸借をしたものと推定する。この場合において、各当事者は、第六百十七条の規定により解約の申入れをすることができる。
2  従前の賃貸借について当事者が担保を供していたときは、その担保は、期間の満了によって消滅する。ただし、敷金については、この限りでない。

民法620条(賃貸借の解除の効力)
賃貸借の解除をした場合には、その解除は、将来に向かってのみその効力を生ずる。この場合において、当事者の一方に過失があったときは、その者に対する損害賠償の請求を妨げない。
民法621条(損害賠償及び費用の償還の請求権についての期間の制限)
第六百条の規定は、賃貸借について準用する。

■賃貸借の注意点
建物を貸す際に注意すべき規程として、借地借家法28条があります。これは更新拒絶における正当事由の規定であり、貸主が契約の更新を拒絶する際には、更新ができない正当な理由を借主に対して示す必要があります。

借地借家法28条
 建物の賃貸人による第26条第1項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現状並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申し出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。

借地借家法26条1項
 建物の賃貸借について期間の定めがある場合において、当事者が期間の満了の1年前から6月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知又は条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、その期間は、定めがないものとする。

また、貸借人同士で期間を定めていた場合には、期間満了と同時に賃借物(部屋や建物など)を返還してもらうことが出来ます。(民法616条、597条1項)

民法616条(使用貸借の規定の準用)
第五百九十四条第一項、第五百九十七条第一項及び第五百九十八条の規定は、賃貸借について準用する。

民法597条1項
 借主は、契約に定めた時期に、借用物の返還をしなければならない。

しかし、期間の定めは法律上20年が上限となっており(民法604条)、さらに契約における目的物が建物であり、1年未満の期間を設定した場合は期間の定めがないということになります(借地借家法29条1項)。

民法604条(賃貸借の存続期間)
賃貸借の存続期間は、二十年を超えることができない。契約でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は、二十年とする。
2  賃貸借の存続期間は、更新することができる。ただし、その期間は、更新の時から二十年を超えることができない。

借地借家法29条1項(建物賃貸借の期間)
 期間を1年未満とする建物の賃貸借は、期間の定めがない建物の賃貸借とみなす。

契約の目的物が建物であった場合、期間の定めが設けられていたとしても、必ずしも期間満了と同時に契約終了となり、建物から退去してもらえるとは限りません。契約満了の6か月~1年前までに賃借人から更新しない旨の通知が来なければ、従来通りの条件で契約が更新されます(借地借家法26条1項)。また、普通の借家契約では、期間満了後も借主が住み続けたい旨を主張すれば、自動的に更新が可能となってしまいます。

借地借家法26条1項
 建物の賃貸借について期間の定めがある場合において、当事者が期間の満了の1年前から6月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知又は条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、その期間は、定めがないものとする。

2019-10-25 10:41 [Posted by]:不動産の弁護士・税理士 東京永田町法律事務所