更新時の敷金の追加を要求された。

敷金とは、不動産の賃貸借契約において、賃借人が家賃の滞納や備品の破損などの債務不履行が生じた際の担保として、賃貸人に対して交付される金銭のことをいいます。(同じような趣旨の金銭で、保証金と言われるものもありますが、保証金についての規定は民法の中では、定められていません。ちなみに、敷金については、民法619条2項などに規定が定められています。)
そして、賃貸借契約が終了した後に、賃貸人は、家賃の滞納や備品の破損など、賃貸借に対する債務を敷金から差し引き、敷金から債務にかかった費用を差し引いた残りの残額を賃借人に返還するということになります。
賃貸借契約中に敷金返還請求権を他の第三者に差し押さえられたとしても、賃貸借契約が終了するまでは、賃貸人が敷金を預かっておくことも可能ですし、また、契約が終了したとしても賃借人の債務分を回収後の残額が差押えの対象になるに過ぎず、敷金に関しては、賃貸人が優先して返済してもらうことができます。
さらに、敷金は賃貸借契約時に前もって預かることができる担保なので、連帯保証と比べると、確実性のある回収方法であるといえます。
そこで、更新にともない、敷金の不足分として別途金銭を要求された場合に支払わなければならないのかということになります。
まず、敷金の増額についてですが、このようなときはまず契約書を確認します。契約書の中に敷金の増額に関する特約が記載されている場合、必ずしも法律的に問題がないとはいえませんが、「更新時に敷金を増額する」や「敷金は、更新時に賃料が改定された際に、新賃料の○か月分とする」など、特約の内容によっては、有効となることもあり得るので、そのときは大家さんの提示額に従うことになります。 それに対して、特約がない場合、敷金不足分の請求には理由はないと考えられるので、法律的には敷金の追加に応じる義務はないと言えます。
なぜかといいますと、「家賃」の値上げに関しては、旧借家法7条や新借地借家法32条に法律的な規定として定められていますが、「敷金」の値上げに関しては法律的な規定がないのです。
ただし、法律論でのみ考えるのではなく、大家さん側にも何かしらの主張があるのかもしれません。
家賃が毎更新ごとに値上げされるにも関わらず、敷金が変わらないということであれば、保証されている分で支払うことが出来る不払い分(例えば、家賃2か月分が敷金であれば、家賃2か月は不払いであっても回収が可能ですが、更新後に家賃が値上がりしたにも関わらず、貸主が預っている敷金はもとの家賃2か月分なので不払い2か月分の保証さえなく、貸主側としては不安になってしまう。)が減ってしまいます。
つまり、大家さんは安心を得るという目的のために敷金を値上げしたいと考えていることもあります。
賃借物を賃貸借する上で、大家さんとの信頼関係を良好に保ちたいのであれば、特に特約がなかったとしても、高額に増えるということでない限り、敷金の追加に応じることもよいと考えます。

2019-10-24 12:12 [Posted by]:不動産の弁護士・税理士 永田町法律税務事務所