「激安価格」という表示に関する不正競争規約
「激安価格」の広告を見て買ったが、実際は相場以上だった→表示の根拠となる事実を表示していたかどうか。
私は画家をしていますが、今のアトリエが狭くなったので、住まいごと新しいものにしようと、物件を探していました。住宅情報誌を見ていたら、「激安価格、駅近く一坪55万円」という土地付き一戸建ての広告を見つけました。現地検分もして気に入ったので不動産業者Bと契約を交わしました。
ところが、その近所に住む知人が「あの辺りは最近地価が下がって40万円程度の相場ですよ」と教えてくれました。Bに「誇大広告だったので一坪当たり15万円の差額を返してほしい」と掛け合ったところ、「安い価格に違いはないので、解約であれば応じるが、差額は返還できない」とのことです。差額の返還請求はできないものでしょうか。
不動産の価格設定というものは難しいものです。一般の店頭に並んでいる商品のように、多くの物品に同じ値段をつけて売られているわけではありません。
かといって、誇大広告が許されているわけでもありません。不動産の表示に関する不正競争規約では「物件の価格について実際のものよりも安いと誤認させるおそれのある表示」の使用を禁止しています。あなたの場合、「激安価格」という言葉がこの表示に当てはまりそうです。さらに規約では「当該表示内容の根拠となる事実を併せて表示する場合に限り使用することができる」と規定しています。したがって一坪55万円という地価が本当に激安といえたのか、地価の変動や周辺の地価との比較といった事実を併せて表示していない限り、規約に違反した表示を行ったということになります。
もし規約違反の表示だと明らかになった場合には、事業者に対する処分だけでなく差額の返還請求も認められる可能性があります。