井戸水が飲料不適なので水道を引いてほしい
退社したら会社所有マンションの家賃値上げを要求された
居室というためには、最低限として
①雨露をしのぐことが出来る。
②炊事の出来る場所があり、さらに、水道が完備されている。
③トイレや排水設備が完備されている。
の条件を満たす必要があります。
居室に引かれている水が、「飲み水として不適」となっている場合、大腸菌等の雑菌が含まれていることも考えられ、このような水は「飲料水」としては認められないので、上記の②の条件を満たしているとは言えません。よって、大家さんは、「通常の生活を送る上で必要最低限度の設備を供給する義務」を借主に対して提供しなければならないにも関わらず、その義務を果たせていないと言えます。したがって、大家さんは借主の要求通り、水道を引かなければならないということになります。
では、大家さんが水を引いてくれないときにはどうするのかといことですが、まずは借主自身が浄水器を購入するか、水道を引いてしまうかします。そのときにかかった費用は、建物や部屋の修繕費・日常生活をおくる上で必要不可欠な設備などの通常の維持・管理・保存に必要なときに使われたことから「必要費」と言われ、直ちに大家さんに請求することが出来ます(民法608条1項)。
それでも大家さんが支払いを拒否したときは、家賃とこの必要費を相殺させることが出来ます(民法505条)。
*相殺とは*
互いの損得を消し合って、帳消しにすること。つまり、大家さんと借主双方の義務(大家さんは、部屋を修繕しなければならない義務。借主は家賃を支払わなくてはならない義務。)を相殺させるために、大家さんが支払い拒否をしている必要費の分を、借主が支払っている家賃から差し引いて、その残額を借主は大家さんに支払えばよいということになります。
また、相殺するためには、「○月分の家賃●万円のうち、△万円は浄水器購入(あるいは水道を引いた)の費用と相殺致します。なので、残額×万円を支払います。」のような内容証明郵便で送ることで相殺が成立します。