借地上の建物を購入し地主から明け渡しを請求された

借地上の建物を買ったら地主から明け渡しを請求された→借地権の譲渡には地主の承諾が必要。
私は今度、東京に転勤することになり、都内近郊に中古住宅を買うことにしました。良い物件が見つかったので購入しようと思い、登記簿を調べたら借地でした。売主Sに確認したところ「地主の承諾は得ておきます」とのことだったので、借地上の建物を譲り受けました。
実際に住み始めて間もなく、突然、地主が内容証明郵便で「借地権の無断譲渡があったので借地契約を解除する」と通告してきました。せっかく買った家なのでできれば手放したくないし、どうすればいいのでしょうか。

通常、借地上の住宅が譲渡される場合、それに伴って土地の借地権も譲渡されます。借地権がなければ土地上の建物を撤去しなければならないからです。ただ、借地権の無断譲渡があった場合、地主は借地契約を解除できることになっています。あなたの場合も購入した住宅を維持するには、借地権の譲渡を地主に承諾してもらわなければなりません。そこで、地主と直接交渉して、譲渡に対する承諾を得ましょう。その際、借地権価格の10%程度の承諾料を要求されるかもしれませんが、承諾料は本来、売主のSが負担すべきものですので、Sに支払ってもらうか、売買代金からその分を差し引いてもらうことができます。
もし、交渉が難航するようでしたら、借地非訟という制度を利用して裁判所に地主の承諾に代わる許可を求めて申し立てをします。万が一、裁判所から許可が得られなかった場合、住宅の維持というあなたの当初の目的は達成できませんが、地主に対して建物の買取を請求できます。
また、本来土地に対して付随して譲渡されるべき借地権がなかったのですから、建物の売買契約を解除して売主Sに対して損害賠償を請求することができます。

2017-12-14 15:05 [Posted by]:不動産の弁護士・税理士 永田町法律税務事務所