借家人の住む中古住宅を購入した場合の立ち退きを要求
借家人の住む中古住宅を買ったが、立ち退いてくれない→不正な事由がなければ立ち退きを要求できない。
家族で一戸建てに住みたいと思い、Y不動産に仲介を頼んでいましたが、今度、M所有の中古住宅が購入できることになりました。現地検分をしたところ誰かが住んでいたので、Yに尋ねてみると「借家人のFは引っ越しの時までに退去させます」とのことでした。
ところが、契約締結後、Fに家の引き渡しを求めたら拒否されました。どうもFは立ち退くつもりはないようなので、らちが明かず途方に暮れています。
まずあなたが借家の新所有者となったことで、借家人Fに家屋の引き渡しを請求できるかどうか考えてみましょう。借家人は借地借家法によって手厚く保護されていて、借家の所有権が移転しても借家権が登記されていれば退去を請求できません。また仮に、登記がなくても借家人が借家を現実に占有していればやはり、退去請求はできません。
借家期間が満了した場合であっても、家主の側に更新を拒絶するだけの「正当な理由」がなければ契約の更新を拒絶できません。この「正当な理由」の有無は厳しく判断されます。
あなたの場合、Fが現に住んでいて、しかもそれを承知の上で家を購入しているので、「正当な事由」が認められません。よって、Fに退去を求めることができません。
ただ、不動産業者Yが借家人Fの退去を約束し、それを信じてあなたは売買契約をしています。あなたはもともと一戸建てに住む希望があり、Fを退去させることができないのであれば、契約を結ばなかったわけですから、契約の解除を主張できます。
もっとも、立退料を支払えばFが退去要求を受け入れるかもしれません。ですから、解約の前に、前の家主Mに対してFと交渉するように頼むというのも1つの方法です。