契約を締結するかどうかを判断するために必要な時間を与えることを拒む行為

 今契約しないと売れてしまうと急がされて
中古の一戸建てのチラシを見て、参考程度の軽い気持ちで夫婦で見に行きました。ところが、営業担当の方から「銀行ローンを組めば買える、前向きに契約を検討しているお客さんが2組いるので売れてしまう、売主だから仲介手数料も必要ない、今日契約すれば100万円値引きする」と熱心に契約を勧められました。「よく考えたい」と言いましたが、事務所に連れていかれ、結局、契約させられました。近くのATMで手付金の20万円を引き出し、その場で支払いました。やはり、ローン返済が不安なのでやめたいのですが……。このような強引な営業は問題ないのでしょうか。

購入の気持ちもなく軽い気持ちで見学に行ったのに、思いがけず契約をさせられてしまった。宅建業法は「契約を締結するかどうかを判断するために必要な時間を与えることを拒む行為」を禁止し、消費者契約法は消費者がその場所から退去する意思表示をしたにもかかわらず退去させないことを禁じています。
本件では強引と思える営業行為があったことは想像できますが、しかし業法違反や契約取り消しができるまでの行為があったのかを立証することは極めて困難なことです。手付金の20万円を放棄して契約を解除せざるを得ない場合が多いと思います。不動産の契約は「決める勇気」「断る勇気」の両方が必要であることを知っておきましょう。

2017-12-14 16:11 [Posted by]:不動産の弁護士・税理士 永田町法律税務事務所