家賃の支払いが1か月遅れたら遅延損害金を要求された。
家賃の支払いが1か月遅れたら遅延損害金を要求された。
延滞金は法律では、「遅延損害金」と呼ばれ、これは賃借人に対して、建物を一定の期間使用収益できる状態にしたにもかかわらず、賃貸人に対する賃料の支払時期が経過しているときは、家賃の支払いが遅れたことによるペナルティとして、賃料に対する遅延損害金が発生することになります(民法415条・419条)。
つまり、たとえ1か月の遅延であっても「遅延損害金」は発生するので、賃貸人が賃借人に対して、遅延損害金を請求することが可能であるといえます(民法415条、419条)。
ちなみに賃貸借契約に基づく賃料の遅延損害金支払請求権の要件事実は、
①当該建物について、当事者間で、賃貸借契約を締結していること
②賃借人に対して、当該建物についての賃貸借契約に基づき、賃貸人が本件建物を引き渡していること
③一定期間が経過していること
④当該建物について賃貸借契約における契約所定の支払時期が経過していること
⑤損害金を支払う旨の約定およびその利率
と、なります。
ただし、⑤に関しては、損害金の約定が、法定利率(年5分、民法404条)を超過するときの要件事実です。
もし、損害金の約定がなされていないのであれば、⑤の要件事実は不要ということになり、①~④を基準として法定利率による損害金を請求することができます。
また、商行為による債務で、年6部の法定利率(商法514条)を請求するのであれば、「原告(または被告)が株式会社である」などの事実を記載することになります。
また、「遅延損害金」の金額は、契約書内での特約がない限りは、民法第404条に定められた法定利率である年5%で算出されます。
家賃×0.05(5%)÷365×遅延日数(1か月なら30又は31)
ただし、商行為による債務で、法定利率が年6%(商法514条)を背負休する場合は、「原告は、株式会社である」という内容を記載する必要があります。
さらに「遅延損害金」に関して契約書の中で特約がある場合は、その特約が適用されます。特約による利率は約定利率と言われます。
本来は特約に従わなければなりませんが、特約が必ずしも適用されるとは限りません。特約の利率があまりにも高率であった場合、公序良俗にあたるとみなされ、利率に対する特約自体が無効となる場合もあります。
しかし、家賃の滞納は、借主の重大な義務違反にあたり、長期であれ、短期であれ、たびたび繰り返すようなことがあれば、契約解除の理由として認められます。なので、やむを得ない事情により、支払いが遅れてしまう場合は、事前に大家さんあるいは不動産会社にその旨の事情を説明し、いつ頃であれば支払うことが出来るのかを伝える必要があります。