手付金を建て替えて契約
手付金を建て替えて契約をしたが……
A社から受託している新築建売住宅のオープンハウスに来場した顧客が気に入ったようなので、事務所に来てもらい契約の交渉をしました。手付金200万円で残りは住宅ローンということで契約の同意を得ましたが、手付金の準備に時間がかかるので用意できてから契約したといいます。そこで手付金200万円を当社がいったん立て替えることで同意し、貸付(無利息)の書面を交わしたうえで契約を締結しました。ところが、2日後に、買主から「契約を解除したい」との電話があり、貸し付けた200万円の支払いをめぐりトラブルになっています。
売主買主間の合意のもとで契約が有効に成立すると、買主がこの時点で契約を解除するには手付金を放棄することになります。本件トラブルの民事の争いについての判断はできませんが、宅建業法の側面からみると……。
見学したその日には契約を締結させたことが直ちに違法とは言いませんが、宅建業法47条3号は「手付金について貸し付けをすることにより契約の締結を誘引する行為」を禁止しています。手付金を貸し付けて契約させたことは、契約の誘因行為違反として厳しい処分の対象となります。売主業者に事情を説明して、契約の白紙解除(合意解除)に同意してもらえるように交渉し、買主が手付金の返還を受けられるように尽力することが何より大事です。あくまでも請求すると、さらに大きなトラブルになる可能性があります。