正当事由はないが、借家から出ていってほしいという場合には
正当事由はないが、借家から出ていってほしいという場合には
賃借人に対して高額な立退料を支払う必要が出てきます。立退料の相場が「家賃の200か月分」といわれたこともありました。「高額な立退料を支払わなければならないのなら、貸さないでおいたほうがいい」と考える賃貸人が出てくるようにもなります。つまり、借主を保護しようとする借地借家法のおかげで、良質な賃貸住宅の供給が阻害されることになってしまいます。 建物に関する賃貸借契約では、借地借家法が適用され、アパートなどの居住者は借地借家法によって、「家を借りる権利」という意味を持つ、「借家権」という権利を有していることになります。借家権は強力な権利であるため、たとえ大家さんであってもむやみに借主から奪うことは出来ないのです。なので、居住者が「住み続ける」といえば、借主側に家賃滞納や契約違反など契約を解除せざるを得ないような問題が無い限り、原則として住み続けることを承認しなければならないということです。 ただし、大家さんがその部屋をどうしても使わなければならない理由があれば、契約の更新を認められないこともありますし、また、建物が古くなり、価値がなくなった場合は、契約が自動的に終了することもあるので、この場合は、借家権が失われることになります。 また、契約書の中に「貸主が立ち退きの要求があったときは、すぐに立ち退き、さらに、借主はどんな場合であっても、貸主に対して立退き料などの金銭的な要求をしてはならない」というような条項が記載されている場合は、借主にとって不利な条項であることから、これらは無効となります。 ですが、建て替えをするからには、それなりに古くなっていると考えられます。もちろん借家権がある以上、立ち退きを拒否することは可能ですが、1人で居座ることに抵抗があるならば、不動産会社に間に入ってもらい、次の部屋を見つけるまでの間、立ち退きを待ってもらうこともよいです。 さらに、部屋を立ち退く際に、引っ越し費用などが立ち退き料という名目で支払われることが一般的です。 大家さんの都合によって、借主が立ち退かなければならないのであれば、大家さんから借主に対して、一般的には立退料が支払われます。 バブル経済の頃は、新規の部屋に移るとなると、家賃も高騰していたため、より高い家賃を負担することになるので、高額の立退料をもらうことも少なくはなく、さらに、大家さんも借主が立退いた敷地を更地にして、売却することによって、莫大な利益を得ることが出来たため、高額な立退料を支払うことが出来たのです。 しかし、最近では、家賃相場が下がってきたため、前の借主が支払っていた家賃よりも、新規の借主の家賃が下回り、また、家賃相場が下がっていることで、立ち退く側も家賃の面で負担が軽減されるため、高額の立退料が必要というわけではないのです。さらに、大家さんも立ち退いてもらった土地を更地にしたところで、さほど利益は見込めず、高額な立退料を支払う余裕はないと言えます。 よって、立退き料の金額は、個人的な事情が関係してくるので、一般的な基準を出すことは難しく、借主及び貸主双方の話し合いで決めることになります。