滞納家賃を敷金から引いてもらいたい
滞納家賃を敷金から引いてもらいたい
敷金とは、不動産の賃貸借契約において、賃借人が家賃の滞納や備品の破損などの債務不履行が生じた際の担保として、賃貸人に対して交付される金銭のことをいいます。(同じような趣旨の金銭で、保証金と言われるものもありますが、保証金についての規定は民法の中では、定められていません。ちなみに、敷金については、民法619条2項などに規定が定められています。)
賃貸借契約が終了した後に、賃貸人は、家賃の滞納や備品の破損など、賃貸借に対する債務を敷金から差し引き、敷金から債務にかかった費用を差し引いた残りの残額を賃借人に返還するということになります。
賃貸借契約中に敷金返還請求権を他の第三者に差し押さえられたとしても、賃貸借契約が終了するまでは、賃貸人が敷金を預かっておくことも可能ですし、また、契約が終了したとしても賃借人の債務分を回収後の残額が差押えの対象になるに過ぎず、敷金に関しては、賃貸人が優先して返済してもらうことができます。
さらに、敷金は賃貸借契約時に前もって預かることができる担保なので、連帯保証と比べると、確実性のある回収方法であるといえます。
借主が家賃の不払いや賃借物件を破損したときなどの損害賠償があった場合の保証として家主が預かっているもので、家主からしてみれば、万一何かがあったときに敷金から弁償することが可能であるという安心が出来るのです。
今回、敷金からの支払いたいということですが、借主の要望で敷金を切り崩すということは、その後、再び家賃の不払いなどの問題が生じた際の保証がなくなってしまい、大家さん自身が不安になってしまいます。
大家さんの意思で敷金から切り崩すことは出来ますが、借主の方から敷金を家賃にあてることを大家さんに対して求めることは出来ないのです。
どうしても支払いが遅れるようであれば、管理会社に事情を話し、翌月の家賃入金時に未払い分を振り込むようにするべきです。
ただし、滞納額が数か月分になってしまった場合や、催促しても支払わないなどの場合には、十分な解除の理由として認められるので、注意が必要です。