申込者の一方的な理由でキャンセルした場合のキャンセル料

申込金はキャンセル料として返せない……
専任で受託している売主業者Aの新築建売住宅の売り出し初日、建物を見に来たお客様が大変気に入られ、「今日は契約できないが、押さえておくことはできますか」と尋ねられたので、購入申込書と申込金として10万円を支払ってもらいました。3日後、申込者が他社の物件が気に入り、申し込みをキャンセルするとして、申込金の返還を求めています。購入申込書には「キャンセル料をご負担いただく場合があります」と記載されています。申込者の一方的な理由でのキャンセルはこれに該当しますので、申込金はキャンセル料として返還できないと返答しています。申込者は納得せず、トラブルになっています。

購入申し込みの段階では、当該物件は買い受け希望者にとって有力な購入物件の候補であったと思います。しかし、他社との比較の中で、残念ながら他社の物件を選択しました。そこで申込者は、申し込みの撤回(キャンセル)の通知をし、支払った申込金の返還を求めています。
宅建業法は「相手方が契約の申し込みの撤回を行うに際し、すでに受領した預り金を返還することを拒むこと」を禁止しています。購入申込書に「キャンセル料をご負担いただく場合があります」と記載されているようですが、その記載により、宅建業法の当該禁止行為の適用が除外されることにはなりません。速やかに申込金を返還して、トラブル状態を解消して下さい。

2017-12-14 15:57 [Posted by]:不動産の弁護士・税理士 永田町法律税務事務所