買ったマンションの耐震強度が足りないと判明した

住み始めて3カ月も経たない新築マンションのベランダや壁に大きな亀裂が走り始めました。業者はコンクリートの乾き具合の問題で、強度には何の心配もないと言います。しかし、専門家に耐震強度を調べてもらうと、法定の2分の1ほどの耐震強度しかないことがわかりました。業者に何らかの責任を取ってもらうことは可能でしょうか。

建物の基本構造部分について、新築住宅の売主は、引渡しから10年間、瑕疵担保責任を負うと法律で定められています。耐震強度不足はここでいう瑕疵に該当すると考えられるので、買主は契約を解除し、売主に代金全額の返還を求めることができます。ただし、補修が可能な場合には、請求できるのは原則耐震強度の補修のみとなります。また、買主は売主に対し、引越し費用や代替の住居確保の費用も請求できます。 基本構造部分の瑕疵担保責任は10年ですが、買主が瑕疵を知った時から1年間しか請求できないので、欠陥に気づいたら早めに対処しなければなりません。 なお、耐震強度が不足した欠陥マンションでは、住人が補修による居住を望んでも、行政から使用禁止命令が出ることもあります。大きな社会問題になった耐震偽装マンションでは、耐震強度が基準の2分の1以上か以下かで、補強するか建て直すのか結論が異なりました。いずれにしろ、耐震強度の問題は、マンションの住人全員が関係するものですので、売主への交渉も個々に行うのではなく、住人全員で行うとよいでしょう。

2019-10-24 14:13 [Posted by]:不動産の弁護士・税理士 永田町法律税務事務所