請負契約と業務委託契約

希望とは異なる家でも代金を支払わなければならないのか→請負契約や工事監理者との業務委託契約の内容がポイント。
父の遺産を相続したこともあり、念願の注文住宅を建てることになりました。設計はA建築事務所に依頼し、そこの建築士Bがそのまま工事監理者となりました。私は最高に優れた家が好きで、その点に重点を置いた設計を希望して業務委託契約を締結しました。建築についてはAの推薦でC建設が手掛けることになり請負契約も締結しました。
ところが、実際に出来上がった家を見ると、私の希望とはかなり異なっており、しかも希望もしていない部分が付属しています。さらに驚いたことに、その付属部分について、C建設は追加代金を請求してくる始末です。私としては納得がいきません。

ここに出てくる「工事管理者」とは、建築士法に基づいて建築士がなるもので、建築物の工事が設計図通りにされているかどうかをチェックする役割を持っています。実際には、建築物の設計を手掛けた設計士がそのままなることが多いようです。さらに、本ケースのようにその設計士が懇意にしている建設業者がそのまま、工事を請け負うこともあります。
このケースで問題となるのは、工事管理者に当初の設計とは異なった工事を認める権限があるか、ということです。Bにその権限があると、設計内容の変更を認めてCがそのまま工事をできることになります。その結果、Cの工事は請負契約に違反せず、追加代金の請求もできることになってしまいます。Bに権限については、建築主であるあなたとBとの間の業務違約契約や、Bが参加した場合のあなたとB、Cとの間の請負契約の内容で決まります。もしBにあなたを代理する権限が認められていなければ、原則として、あなたは希望通りの工事を請求することができます。

2017-12-13 16:50 [Posted by]:不動産の弁護士・税理士 永田町法律税務事務所