敷金
賃料の滞納や、賃借人が目的物をしっかりと保管しなかったために生じる損害を担保するために、あらかじめ賃借人が賃貸人に差し入れておくお金です。
賃貸借契約終了の際に、未納の地代・家賃や損害金などを控除して、残額を賃借人に返還します。敷金がどの程度戻ってくるかについては、賃貸借契約の終了後、家屋の明渡しの時点でなければわからないため、建物の明渡義務は敷金返還義務に対して先履行の関係になります。
借家人が住んでいた中古住宅を購入し、家の引き渡しを受けた際に敷金を返還するよう求められた場合、住宅の購入者に返還義務はあるのでしょうか。
中古住宅の前所有者との売買契約により新たな所有者になった場合、借家人に対する「賃貸人の地位」も前所有者から引き継ぎます。このため、新たな所有者が前所有者から敷金を受け取っていないとしても、敷金の返還義務を負うことになります。
敷金は物件が破損した場合の補塡や延滞賃料への引き当てに使われ、返還額はそうした金額を差し引いた分となります。もちろん、新たな所有者は借家人に「返還」した金額について前所有者に同額を請求できます。
実際は、あらかじめ前所有者から敷金を受け取っておくか、売買契約の締結時に「敷金は前所有者から借家人に返還する」と特約で明記しておけば、敷金の返還はスムーズになります。
【メモ】敷金・礼金
敷金は住宅を退去する際に原状回復(生活しているうちにできた傷や破損部分を修復する)する費用として、入居前にあらかじめ支払う。契約終了後に原状回復費用を差し引いた額が元入居者に戻される。礼金は文字通り、賃貸人(大家)に対するお礼の意味で、入居前にあらかじめ支払う。敷金と異なり、退去時に返還されない。借り手市場の地域では、敷金・礼金のない「ゼロゼロ物件」も増えている。