方位誤認

「南向き」の物件と表示されていたために、日当たり良好と考えて、分譲マンションの購入予約をしたところ、厳密には「東南東」だった場合、予約の解除は可能でしょうか。

日照に関わるこだわりは、住宅の利用者にとって日々の暮らしに直接関わることなので、購入するかどうかを判断する上で重要な要素になります。

「不動産の表示に関する公正競争規約」は「物件の採光、通風、日照、眺望等について、実際のものより優良であると誤認されるおそれのある表示」を禁じています。上記の例については、「南向き」が「真南」であったなら、「誤認されるおそれのある表示」と言えるでしょうが、「東南東」も「南向き」に含まれると受け止める人もいるでしょう。そうだとすると、「誤認されるおそれのある表示」とは言えないと考えられます。

また、どの方位を向いた物件なのかは、購入希望者が事前に調べて確認が可能な要素でしょう。そうした意味で、予約の解除は通常、認められないケースと思われます。もし、購入希望者側が「南向き」を「真南」と理解していたとしたら、売り主に対して自身の誤解を説明し、任意の交渉で合意解約し、手付金の返還を求める流れが理想です。

2020-07-06 18:43 [Posted by]:不動産の弁護士・税理士 永田町法律税務事務所