土地売買時の汚染浄化の程度

汚染されていた土地を買うには、どこまで浄化をさせるひつようがあるでしょうか。

売買対象土地に要素市区域等(すなわち要措置区域又は形質変更時要届出区域)の濃度基準を超過する汚染が判明した場合には、何らかの対策を講じなければ売り物になりません。この場合、いかなる対策を講ずるかは買主のリクエスト次第です。
もちろん、汚染の除去などの措置の指示や命令で予想される最低限の処置は必要でしょうが、少なからぬ買主は濃度基準を下回る汚染の程度に回復するまでに必要な汚染の除去を求めたいと思うでしょう。その理由は、買主としては汚染を気にせずにあらゆる可能な土地利用を考えたいからであり、また転売するにあたっても、中途半端な措置しか講じていない土地は売り物にならないと考えるからです。さらに将来、もしその汚染が原因で近隣の住民に健康被害が発生した場合に、その汚染の除去等の措置を徹底させないで土地を所有していたことが原因であったと判断されることもあり得るため、そのような場合に法的責任を追及されることを防止する必要があるからです。なお対策において土地工作物を設置したような場合は無過失責任である土地工作物責任を問われる可能性もあります(民法717条)。さらには、将来において、現在考えられている汚染の除去等の措置では不十分であると判断が変わる可能性もあり、その場合には、より徹底的な浄化が必要になるかもしれないからです。
このように買主サイドの気持ちを考えると、徹底した土壌汚染の除去を売主に求めたいのは当然なのですが、そのコストはかなり大きなものになります。従来も汚染土壌の処分には多額の費用が掛かっていたのですが、平成21年改正で要措置区域等(すなわち要措置区域又は形質変更時要届出区域)からの汚染土壌の搬出と処分に規制の網がかかったこともあり、それ以外の土地からの汚染された土壌の搬出や処分にもあたかも規制がされているかのごとき対応がなされることと思いますので、コストはより一層大きくなると思われます。そうなると、汚染の除去等の措置を、事前に売主が行うとしても、購入後買主が行うとしても、売主がに残る売買代金はかなり少額となる(場合によってはマイナスとなる)ことが十分に予想されます。そのような場合は、結局、売買が成立せずに土地が放置されてしまうというブランフィールド問題にも発展します。
このような買主の汚染除去への神経質な対応は、社会全体からみると汚染土壌の不適正処理をもたらしかねず(適正処理のコストを嫌って不適正処理がされることにより、汚染土壌が拡散する恐れがあるため)、いったい何のために土壌汚染対策法を作ったのかわからないというおかしな結果を招きかねません。そのため平成21年改正にあたっては、徹底した除去である掘削除去をできるだけさせないようにしたいという識者の意見が非常に多かったといえます。その結果、汚染の除去等の措置命令の前に措置の指示というステップを置いて、法律上求められる措置を明示し、それは決して掘削除去ばかりではないこと、掘削除去はむしろ例外であることを明確にして、この意識を徹底させようとしました。もっとも平成21年改正後も、土壌汚染対策として、汚染の除去等の措置の指示や命令が出されることは極めて例外であることには変わりがないため、かかる意識の改革が平成21年改正でもたらされることはなかなか期待ができないだろうと思われます。

2017-12-13 15:27 [Posted by]:不動産の弁護士・税理士 東京永田町法律事務所