土壌汚染が疑われる会社の事業譲渡

会社Aの事業のうち、当社が興味のある一部の薬品製造事業のみの事業譲渡を受けることで、汚染された土地保有や土壌汚染がもたらす第三者に対する偶発債務の発生の危険を避けようと思います。当該事業譲渡に係る資産を特定し、譲渡を受ける契約関係を特定し、それら以外の会社Aの一切の財産、債権譲渡を承継しないことを明確にした事業譲渡契約を締結することで、上記目的は達成できますか。

現在までの判例通説に従えば、ご質問の事業譲渡の方式で、貴社の目的を達成できると考えます。事業譲渡の場合に、譲受人に債務承継が認められるのは、譲渡人の称号を族要する場合(会社法22条)や、債務引受の広告をした場合(同法23条)に限られているからです。ただアメリカでは事業譲渡方式による企業買収の場合も、様々な理論により「ほかの会社の資産を購入した会社は、譲渡会社の責任を承継しないとする基本原則の例外を発展させてきた。」といわれており、日本においても譲渡対象を特定させた事業譲渡であるから一切問題はないと単純に考えてよいかについては、慎重であることが必要だと考えます。とりわけ会社Aに過去に深刻な土壌汚染があるのではないかとの疑いがあり、かつ事業譲渡後に会社Aが速やかに解散し、生産を予定しているような場合などは、後日、土壌汚染の被害者の損害回復が困難となることが予想されます。そのような場合は、裁判所において、日本でもアメリカと同様の理論、又は日本独自の理論で、事業譲渡の譲受人にも何らかの責任が及ぶ恐れもないとはいえませんので、慎重である必要があると考えます。

2017-12-13 15:53 [Posted by]:不動産の弁護士・税理士 東京永田町法律事務所