当社Aの土地は汚染されています。このような負の資産を処理するために、会社分割を考えています。土地所有のための会社を新設会社Bとして、土地は新設会社Bに取得させたいと思います。会社Aは汚染の除去等の措置の指示や命令を受けないと考えてよいでしょうか。
会社分割により会社Bが土地を所有するに至る以上、以後会社Aは土地の所有者等としては汚染の除去等の措置の指示や命令を受けることはありません。しかし、会社Aが原因者として汚染の除去等の措置の指示や命令を受けることから免れることができません(法7条1項ただし書、4項)。また会社Aが原因者でない場合も、かかる会社分割では会社分割後も分割会社も設立会社(新設分割の場合、吸収分割の場合は承継会社)も債務の履行の見込があることが必要なところ(会社法782条1項、794条1項、803条1項、同法施行規則183条6号、192条7号、205条7号)、マイナスの資産を会社Bに押し付けるのでは、この要件を満たさないのではないかと思われます。「債務の履行の見込み」がないにもかかわらず、「債務の履行の見込み」があるとして事前開示事項に記載することが、事実の点で記載の欠陥があるとして会社分割の無効自由となるだけでなく、過料などの制裁もありうることに注意が必要です(同法976条1項7号)。