知らないうちに私の土地の山林に産業廃棄物が投棄されており、土壌が汚染されてしまいました。私にも土壌汚染除去等の措置の指示や命令が出されることはありますか。
土壌汚染除去等の措置の指示や命令は、要措置区域に指定されて初めて行われるので、いきなり措置の指示や命令が出されることはありませんが、何らかの契機であなたの土地が土壌汚染状況調査(法2条2項)の対象になり、濃度基準を超える汚染の存在が都道府県知事に判明した場合は、要措置区域又は形質変更時要届出区域のいずれかに指定されることになります。あなたの土地が、このうち要措置区域に指定されれば、土地所有者として汚染の除去等の措置の指示や命令を受ける可能性はあります。ただその汚染が、土壌溶出量規準に適合しない土壌汚染である場合は、飲用に供される地下水に汚染を引き起こす恐れがなければ(もっとも河川などの公共用水域に水質汚濁を生じさせている場合は地下水が飲用に供されなくろも問題になりえます)、またその汚染が土壌含有量基準に適合しない土壌汚染である場合には、あなたの土地に一般の人が立ち入れる状況になければ、要措置区域に指定されることはないので、強制的に汚染の除去等の措置の指示や命令を受けることはありません。逆にあなたの土地の汚染が飲用に供されている地下水に汚染を引き起こす可能性があったり、河川などの公共用水域に水質汚濁を生じさせている可能性があったり、あなたの土地に一般の人が立ち入ることができる状況にあれば、要措置区域に指定され、汚染の除去等の措置を命じられる恐れがあります。ただもし汚染を引き起こした原因者がほかにいることが明らかであり、その原因者が資力があるなどその原因者に汚染の除去等の措置を行わせることが適当な場合は、あなたではなく、その汚染原因者に除去等の措置の指示や命令を都道府県知事は出さなくてはいけません(法7条1項ただし書)。したがってあなたとしては、現状を漫然と放置するのではなく、誰が産業廃棄物を投棄したのかを運搬業者及び排出業者を突き止めることで明確にすべきです。
産業廃棄物の処分や運搬を他人に委託する場合は、排出業者も産業廃棄物の最終処分まで適切に行われるように必要な措置を講ずる努力義務があり(産廃物処理法12条5項)、またマニフェストと呼ばれる産業廃棄物管理票を受託者に交付して(同法12条の3第1項)、その交付後一定期間内に運搬業者や処理業者から、運搬が完了したことや処理が完了したことを報告するマニフェストの写しの送付を受けない場合は、その結果問題が発生しないように適切な措置を講ずるとともに、都道府県知事に措置内容等の報告書を提出しなければなりません(同条7項、同法施行規則8条の29)。したがってあなたの土地に投棄された産業廃棄物の運搬者だけでなく、その排出業者もその投棄に責任があると解される余地は十分にありますから、登記された産業廃棄物の調査等から早急に排出業者及び運搬業者を突き止めるべきです。