土壌汚染調査会社と秘密保持

当社は指定調査機関に指定を受けた土壌汚染調査会社です。このたび、ある大手のメーカーから極秘でその所有している土地の土壌汚染調査の依頼を受けました。調査をして驚愕しました。とんでもない高濃度の汚染が存在しているのです。メーカーからは「何とか対処するから。このことはぜひとも内密にお願いしたい。」と言われてしまいました。しかしメーカーは何もする様子がありません。どうも「社長が隠し通せ」と言っているらしいのです。当社としては、もともと極秘ということで依頼を受けていることもあり、このまま黙っているしかないようにも思いますが、黙っていたら指定調査機関の指定も取り消されるのではと気が気でありません。どうしたらいいのか教えてください。

貴社は「極秘で」との依頼に応じたわけですので、メーカーとの間で秘密保持契約があると思われます。したがって当該汚染の事実をみだりに他人に漏らすことはできません。しかしメーカーが適切な対処を行わない場合、近隣の土地の土壌や地下水を汚染させる危険が高く、これを放置すれば第三者の生命、身体、財産に危害が及ぶおそれが相当程度あればそのような時に貴社がやむを得ずかかる汚染の事実を公衆の利益を守る立場の都道府県い通報することは、上記秘密保持契約に違反しないと考えます。なぜならば当該秘密保持契約もそのようなことまで禁止している趣旨とはいえないと思わえますし、仮に明示的にいかなる場合であろうとも秘密を守れという規定が入っていたとすれば、その規定は、以上のような状況における通報を禁止ている限度では公序良俗に違反しており無効であると解すべきだからです。もちろん、貴社としては、いきなり当局に通報するのではなく、メーカーに対して、事態を放置した場合の危険を説明し、メーカーに自主的に善処することを求める努力をまず行う必要があると思います。また当局への通報は義務ではありません。

2017-12-13 16:08 [Posted by]:不動産の弁護士・税理士 永田町法律税務事務所