昔は廃棄物も土の中にどんどん埋めていて何の規制もなかったように聞くのですが、本当でしょうか。
昭和45年に廃棄物処理法が制定される前の旧清掃法の時代、一般家庭から排出される汚物の処理は市町村の清掃事業として実施され、埋立処分に関する基準も設けられていました。しかし市町村が汚物を収集・処分するのは「特別清掃地域」と呼ばれる土地区域を中心とする人口集中地区に限られていました。「特別清掃地域」の人口は、昭和45年度で約8500万人、全人口の85%に達していたものの、面積は全国土面積の約11%に過ぎず、広大な「特別清掃地域」外の一般廃棄物の処理は、依然として自家処理又は汚物取扱業者等に任せられていました。
工場や事業場から排出される特殊な産業廃棄物や多量の産業廃棄物については、指定する場所に運搬し、環境衛生上支障のないように処分することを市町村長が命令することができるようになっていましたが、市町村長において「指定する場所」を確保することができなかったため、この規定はあまり活用されず、日量約100万トンに達すると推定される産業廃棄物のほとんど大部分の処理は、排出者に事実上任されていたようです。
昭和45年に制定された廃棄物処理法では、廃棄物が一般廃棄物と産業廃棄物に区分され、廃棄物処理法施行令において産業廃棄物も含めた埋め立て処分の基準がはじめて定められました。しかし当時は、最終処分場に関する規制が定められていなかったため、埋め立てを行う際には、埋立処分の基準さえ守られていればよく、許可や届出は必要ありませんでした。