都道府県知事からの汚染の除去等の指示又は命令に従ってさえいれば、土地の所有者等は免責されますか。
都道府県知事からの汚染の除去等の指示又は命令に従ったものの、汚染対策としては不十分で、そのため近隣住民に健康被害が発生したような場合に、指示又は命令に従ったのだから、それで汚染対策は十分であり、仮にその対策が後日不十分であることが判明したとしても、責任はないという主張が認められるか否かという問題があります。土壌汚染対策法並びにこれを受けた施行令及び施行規則で定めている汚染の除去等の指示又は命令は完全な浄化であるとは限りません。したがって、時にはその指示又は命令に従った措置が不十分であったということも考えられます。そのような場合に、指示や命令に従ったということが免責事由になるのかという問題です。
この問題を考えるには、そもそも汚染の除去等の措置を講じた土地の所有者等が一体いかなる理由でどのような責任を欧亜脳性があるのかを検討する必要があります。土地の所有者等が汚染の原因者ではない場合に、土地の所有者等が責任を問われうる法律上の根拠として考えられるものは、民法上不法行為責任の一種と考えられている土地工作物責任です(民法717条)。濃度基準を超える汚染があり、そのような危険な物質を自らが支配している土地の中に抱えていながら、その汚染による健康被害の防止対策として行った工事が完全ではなく、その土地工作物の設置又は保存の瑕疵があると評価が可能な場合(封じ込めなどの工事が後日評価すると不完全といえるような場合)、そのため他人に被害を与えたとすれば、土地工作物責任が認められると思います。このような民事的な責任を免責にするだけの法律上の効果は、この法律の指示や命令にはありません。
なお、土地の所有者等が原因でもある場合は、一般の不法行為責任を問われる余地があり、かかる民事的な責任を免責にするだけの法律上の効果もこの法律の指示や命令にはありません。