汚染土地の売買と瑕疵担保責任

土地を購入した後、土壌汚染を調査したところ、表措置区域等(すなわち要措置区域又は形質変更時要届出区域)の濃度基準を損害として、損害賠償を売主に求めたいのですが可能でしょうか。ただ汚染浄化を行ってもらえれば解除するまでもないかもしれません。汚染の浄化は求められるのでしょうか。

この法律では、濃度基準を超えた土壌汚染があるからといって直ちに要措置区域等(すなわち要措置区域又は形質変更時要届出区域)に指定されることはないのですが、購入した土地に要措置区域等に指定されるのと同等の濃度の土壌汚染があるということは、少なくとも将来的には開発に規制がかかったり、土壌の搬出が制約されたりするリスクを抱え込んだ土地との評価ができます。したがって、多くの場合は、かかる土壌汚染は、「隠れた瑕疵」(民法570条)に該当すると考えられます(ただし7つの調査地点のうち1つだけで濃度基準を超えたベンゼンがあるにすぎない事例で瑕疵と認定されない事例もあります)、売買契約を解除できるか否かは、かかる汚染のため売買契約の目的を達成されないか否かの判断にかかりますので(民法556条参照)、汚染の程度、汚染の除去等の措置に要する費用や時間を総合的に考慮して判断されることになります。なお調査費用については、そのうち汚染の有無を調査する費用は損害とは考えにくいですが、汚染の存在が判明した後その対策を検討するために要した費用は損害にあたると考えられますので、後者の費用については損害賠償の請求ができると考えます。また汚染浄化を求めることは、瑕疵の修補を求めることになりますので、当然にはできません。
買主が契約解除を選択せずに汚染浄化を行ってその費用を損害として請求することも可能ですが、問題はどこまでの汚染浄化費用を請求できるのかという点です。土壌汚染対策法では、汚染の除去等の措置に関する指示や命令として、必ずしも汚染の浄化を求めていません。したがって、土壌汚染対策法の下で指示や命令が求める対策に合理的な範囲の措置に対する費用が損害であるとの考えもあります。しかし徹底した汚染浄化をしなければ、転売するにも大きな減額を求められる可能性があり、土壌汚染対策法で求められる程度の中途半端な措置に要する程度の費用の支払いを受けても損害の完全な回復にはなりません。したがって、濃度基準以下の汚染となるように浄化するために合理的に必要な作業に要する費用は、すべて損害として売主に賠償責任があると考えます。なお、土地の売買が昔のことで最近になって土壌汚染が判明したという場合は、売買当時において瑕疵であったのかが問題になります。

2017-12-13 15:16 [Posted by]:不動産の弁護士・税理士 永田町法律税務事務所