国土利用計画法

我が国では、過去に地価の高騰や乱開発がしばしば社会問題となってきました。国土利用計画法は、こうした諸問題を解決するために昭和59年に制定された法律です。国土利用計画と土地利用基本計画の策定、土地取引の規制や遊休土地に対する措置を定め、国民生活に投機的な取引や地価の高騰が及ぼす弊害を払拭し、乱開発の防止と遊休土地の有効利用を促進し、総合的かつ計画的な国土利用を図ることを目的としています。

この法律により、土地取引は許可制(規制区域)▽事前届出制(注視区域又は監視区域)▽事後届出制(大規模土地取引)という三つの規制を受けます。政府は平成20年、同法に基づく「土地取引の規制に関する措置等の運用指針」を公表しています。

「許可制」となる規制区域は投機的な取引が相当範囲にわたり集中して行われるか、行われるおそれがある▽地価が急上昇し、又は急上昇するおそれがある――と認められる場合などに都道府県知事が指定します。指定期間は公告日から起算して5年以内で定められます。同区域の土地について売買契約などを締結する場合は都道府県知事の許可が必要で、許可なく締結した契約は無効です。なお、実際は同法施行以来、同区域は指定された例がありません。

「事前届出制」となる注視区域は、地価が一定期間内に社会的経済的事情の変動で相当な程度を超えて上昇し、又は上昇するおそれがあるものとして国土交通大臣が定める基準に該当し、適正かつ合理的な土地利用の確保に支障が生じるおそれがあると認められる場合に都道府県知事が指定します。また、監視区域は、地価が急上昇し、又は急上昇するおそれがあり、適正かつ合理的な土地利用の確保が困難となるおそれがあると認められる場合に都道府県知事が指定します。

両区域にある一定面積以上の土地について売買契約などを締結しようとする場合、事前に予定価格や利用目的などを市町村長経由で都道府県知事に届け出なければなりません。知事は監視区域について予定価格や土地の利用目的が不適当な場合は契約の中止などを勧告でき、届出人が従わない時はその旨を公表できます。さらに、監視区域については予定価格や利用目的が不適当な場合のみならず、投機的取引に当たる場合にも契約の中止等を勧告でき、従わない場合は公表できます。

注視区域は平成10年の国土法改正で、大規模な土地取引に関する「事前届出制」が「事後届出制」へ移行したことと併せて設けられた区域ですが、指定された例はありません。監視区域は昭和62年に制度が設けられ、ピーク時の平成5年時点で58都道府県・政令市(1212市町村)で指定されていました。しかし、その後、バブル崩壊などに伴う地価下落で緩和・解除が実施されました。

「事後届出制」が必要な大規模土地取引で売買契約を締結した人のうち権利取得者は利用目的や価格などを事後的に(契約締結日から2週間以内)都道府県知事に届け出なければなりません。対象は取引する土地の規模が、市街化区域2000平方メートル以上▽その他の都市計画区域5000平方メートル以上▽都市計画区域外1万平方メートル以上で、土地の所有権、地上権、賃借権又はこれらの権利の取得を目的とする権利(土地に関する権利)の移転又は設定があること▽権利の移転又は設定が「対価」の授受を伴うこと▽権利の移転又は設定が「契約」で行われるものであること――の3要件を満たす取引となります。都道府県知事は、利用目的が不適当と判断した場合に目的変更を勧告でき、届け出た人が勧告に従わなければ、その旨を公表できます。

2020-03-19 10:44 [Posted by]:BMB