交通の便
新築住宅を建てようと、勤務先がある東京都心に出るのに便利な土地を探していたところ、ある鉄道の沿線で宅建業者による「近く新駅設置予定、急行が停車、都心へのアクセス良好」との広告を見て購入を決め、手付金を払って購入予約をしたものの、新駅はまだ確定的なものでなかったことが判明した場合、どうしたらいいでしょうか。
まず、本来は事前にしておくべきことなのですが、「新駅」の計画がどこまで実現可能性がある話なのかを確認する必要があります。自治体や鉄道会社に問い合わせ、確定はしていないまでも、設置する方向で動いているのなら予約した土地を手放さない選択肢もありうるでしょう。
交通の便は日々の通退勤に関わる話ですから、不動産を購入する際の重要な判断材料となります。このため、「公正競争規約」の施行規則は「新設予定の駅又は停留所は、当該路線の運航主体が公表したものに限り、その新設予定時期を明示して表示できる」とルール化しています。
上記の「近く新駅設置」という表現は設置時期があいまいで、「新設予定時期を明示して表示」したとはいえません。さらに、「運行主体の公表」もされていなければ、明確な規約違反です。任意交渉で埒があかなければ、地域の不動産公正取引協議会に通告し、手付金を返還するよう警告してもらいましょう。また、契約前の段階で業者が「新駅設置が決まった」と明言していたとしたら、宅建業法違反の疑いが生じます。悪質な場合は、刑法の詐欺罪に該当する場合もあります。