原始的不能/後発的不能
原始的不能とは、法律行為が成立した当初からその履行が不可能な場合をいいます。後発的不能とは、成立した後の原因によってその履行が不可能となった場合をいいます。たとえば家の売買で、売買契約が結ばれる前に火事で焼失していたときは、契約の当初から家を引き渡せないため、原始的不能であり、契約後に火事で焼失したときは後発的不能です。
原始的不能の場合、法律行為は無効であり、原則として有効を前提とする代金の支払いや損害賠償の問題は生じません。後発的不能の場合、法律行為は有効です。履行が不可能になったことについて債権者に帰責事由があれば、債権者は損害賠償(民法415条)、解除(同法543条)をすることが可能です。帰責事由がなければ、危険負担(同法534〜536条)の問題になります。