家賃などお金のトラブル

入居の際に最も問題になることとして、家賃に関するトラブルが挙げられます。例えば、値上げに関する問題、他の住人との格差による問題、家賃の滞納等があります。
また、契約の更新の際になると、共益費・管理費の値上げなどが出てきます。

(一)家賃の不払い

契約上の義務を債務者が故意・過失によって、履行しない場合には、債権者は契約解除・損害賠償請求をすることができます。

■家賃の不払いと債務不履行

借家契約が成立したら、借家人には家賃(賃料)を支払う義務が発生します。したがって、民法の一般原則によって、家賃の不払いがあった場合には、家主は借家契約を解除することができます。また、遅延損害金の約定があれば、損害金の請求ができます。
しかし、家賃の滞納があったからといって、わずかな滞納(たとえば1か月)があっただけで、借家契約の解除を認めると、借家人にとっては、非常に酷な結果となってしまいます。
そこで、判例は軽微な違反で家主と借家人の信頼関係が破壊されていない状況の場合には、契約解除は認められないとしています。

■借家契約と信頼関係

例えば、たまたまその月の収入が少なく家賃の一部が不足した場合や支払期日が多少遅延した場合(2か月分の不払いを解除原因とする説がある)には、解除権は発生しないとされています。
しかし、判例の動向をみても、確固としたものはなく、ケース・バイ・ケースの判断によることになります。

■契約解除の方法

家賃の滞納が、信頼関係を破壊するといえる程度に至っている場合であっても、その場ですぐに契約を解除することは認められません。
この場合でも、家主は相当の期間(1週間程度)を定めて、その期間内に支払えと催告をし、期間内に支払いがない場合に初めて解除が可能となります。
また、家賃の滞納を理由に契約を解除しても借家人が家屋を明け渡さない場合には、訴訟を起こして判決を得た上で、明渡しの強制執行をすることになります。

賃料滞納による物件の明渡しに関する手続き

まず、賃貸借契約を結んだ以上、賃借人は賃貸物件を使用した期間分の賃料を賃貸者に対して支払う義務があります(民法601条)。もし、賃借人が賃料を滞納するようなことがあれば、それは賃借人の賃貸借契約に対する契約義務違反にあたるといえます。この場合、賃貸人は賃借人に滞納している賃料の支払いを請求することが出来、請求したにも関わらず、賃借人が賃料の支払いがなされないときは、滞納分の賃料を請求するための裁判を起こすことが出来るようになります。
しかし、賃貸人からすれば賃料の支払いをしない賃借人に、賃貸物件からの退室を考えることもあります。そのときに、どのような方法を取るべきなのかの基本的な流れは次の通りになります。
本来、賃貸借契約を結ぶと、賃借人は賃料を支払うかわりに物件を使用することが出来る権利を得ることが出来ます(これを賃借権といいます。民法601条)が、賃貸料の支払いが滞るなどした場合、賃借人は契約上の義務に違反したことになります。ただし、契約義務違反があったからといっても即刻賃貸物件から退室しなければならないというわけではなく、賃借権が自動的に消滅することもないです。これは、一見して見れば賃貸人にとって不利なものに思えますが、賃借人が1回でも賃料の支払いが遅れてしまったことで契約を解除されるということは酷であるといえます。また、賃貸人によっては、ある程度の義務違反であるならば、契約を継続させたいと思う人もいます。よって、賃料の滞納があったとしても、契約を自動的に解除させるのではなく、賃借人に対して、一定期間の猶予を与え、それにも関わらず賃借人が義務違反を続けるのであれば、契約の解消を行うと定められています。つまり、義務違反の賃借人を退室させるためには、まずは賃貸借契約を解除し、賃借人の賃借権を消滅させる必要があります。

賃料滞納による物件の明渡しに関する手続き

①賃貸借契約の解除

賃貸借契約の解除に関しては、民法541条および民法540条1項に定められています。
この規定によれば、賃借人が家賃の支払いを行わない場合、まずは賃貸人に対し、相当の期間(一般的には1~2週間あれば法的にも十分である)を定め、滞納している賃料の支払いを請求します(これを法律では催告という)。
しかし、賃借人がその期間を過ぎても滞納分の家賃を支払わなかったときは、賃貸人は賃貸借契約を解除する旨を賃借人に対して伝えます(これを法律では意思表示といいます)。この手順を踏むことで賃貸借契約が解除されることになり、賃借人は「賃借権」を失います。
ちなみに、解除する旨の伝え方は特には決まっていないので、口頭によるものでも問題はありません。
ただし、後に伝えた・伝えていないなどのトラブルの可能性を考えるのであれば、内容証明郵便などを利用するほうが安心です。
賃貸人によって賃貸借契約が解除されれば、法律上、賃借人は物件に対する賃借権を失うことになるので、即刻物件の使用を停止し、賃貸人に物件を明渡すことになります。ですが、必ずしも賃借人がすぐに納得し、明渡すとは限らないのです。
だからといって、賃貸人自身が強制的に明渡しを実行することは原則不可能です(自力救済の禁止)。
もし、賃借人の許可なく物件内へ立ち入ったり、また、室内のものを処分するなどすれば、民事上で損害賠償の請求をされたり、もしくは、器物損壊罪等で刑事処罰の対象になり得ることも考えられます。
よって、賃借人を退室させ、物件の返還を求めるためにも、賃貸者は法律に則った「強制執行」の手続きをとる必要があります。この「強制執行」の手続きは、国によって強制的に賃貸者の権利を取り戻す制度になります。
つまり、賃貸者自身は自ら権利を取り戻すことが難しいため、裁判所の手続きに則った「強制執行」を行使することによって、自身の権利を主張することになります。
「強制執行」は具体的にどのような手順を踏むのかですが、これは2つの手順に分けることができ、
①賃借人に対して退去を求める権利があるかを裁判所が判断するための手続き(裁判の訴訟手続き)
②裁判所によって確定された権利を実行する手続き(強行執行手続き)
になります。

②訴訟により判決正本の取得

まず、賃貸人は裁判所に対して物件の明渡しを求める訴訟を提起します。賃貸人の訴えが正当なものであるかを裁判所が判断し、正当であると認められると、裁判所は賃借人に対して物件の明渡しを命じる「判決」を出すことになります。裁判所から「判決」が出ると、裁判所は賃貸人に対して「判決正本」という書類を渡します。この「判決正本」は強行執行手続きを行うにあたり必要になります。
つまり、強行執行によって賃貸人の権利を守るためには、裁判所の訴訟手続きで、「判決」をだしてもらうことが必要不可欠であるといえます(強行執行のために必要な書類を「債務名義」といいます)。

③強制執行を申し立てる

次に明渡しに対する強制執行手続きですが、これは裁判所の執行官によって行われる手続きです(民事執行法2条、168条1項)。ここでは、賃貸人は裁判の訴訟手続きで渡された「判決正本」をもとにして行われ(民事執行法25条)、裁判所の執行官が強制執行の申し立てをすることになります。なお、民事執行法に則り、強制執行の申し立てに必要な書類は①強制執行の申立書、②判決正本債務名義、③裁判所書記官の付与する執行文、④判決正本送達証明書、⑤判決確定証明書となっています。

(二)家賃の増減額請求

家賃は他人の建物を借りて利用する対価として支払われる金銭です。契約で定められますが、契約成立後でも一定の場合には、増減額請求が認められています。
家賃の増減額の紛争について、いきなり裁判を起こすことはできません。まず調停への申立を行う必要があります(民事調停法24条の2第1項)。調停とは、いわば裁判所において裁判官と調停委員から構成される調停委員会を交えながら行われる話し合いです。なお、調停でも解決に至らない場合には、賃貸人は賃料値上げの訴えを提起(訴訟)する以外にありません。そして、訴訟になれば、当事者間に協議がまとまらなくとも、不動産鑑定士の鑑定等をもとに、最終的には裁判所が相当な賃料を定めることになります。

■家賃の増減請求ができる場合

契約で家賃を定めた以上、本来ならその額を守らなければなりません。しかし、借地借家法は次のような事情の変更があった場合には、家賃の増額を請求できるとしています。
それは、①土地もしくは建物に対する租税その他の公課の増減、②土地もしくは建物の価格の上昇・低下その他の経済事情の変動、③近傍同種の建物の家賃と比較して不相当となった、場合です。
主に、賃料が値上がりするタイミングは、2年ないし3年ごとにくる契約更新に伴って改定されることが多いといえます。
また、賃料の値上げがある場合には、賃貸人および賃借人が話し合いを行い、値上げに同意してもらうことにより、その後の賃料が合意に達した賃料で設定されることになります。
さらに、値上げをするには手続が必要となり、賃貸人によっては、毎回値上げをするたびに手続を行うことを省略するために、あらかじめ1年ごとに数%ずつ賃料を値上げするという約束を取り付けておく「値上げの予約」を要求する大家さんもいます。ただし、これは、賃借人からすれば不利な契約といえます。
ですが、家賃の値上げの理由には、物価の上昇により家賃を上げざるを得ない場合や、また、大家さんは建物や敷地に課される税金や建物の修繕費などの負担もしているため、税金や修繕費などの費用が上昇した場合などが挙げられます。
なので、2年ないし3年ごとに更新する際にある程度の家賃の値上げはやむを得ないといえます。
しかし、物価や諸費用の上昇率を家賃に忠実に反映しなければならないわけではなく、また、無制限に値上げをすることは認められないので、上昇率を大きく上回る値上げに関しては、問題であると言えます。
そこでどの程度の値上げならば妥当であるかということですが、簡単にいくらと言えるものではありません。通常、物価や税金などの上昇率や周辺の賃貸事例との釣り合いを参考にしますが、どの条件に対して、どの程度を重要視するかによって大幅に違ってきます。
借地借家法では、
①土地もしくは建物に対する租税その他の公課の増減、
②土地もしくは建物の価格の上昇・低下その他の経済事情の変動、
③近傍同種の建物の家賃と比較して不相当となった、
という事情の変更があった場合、家賃の増減を請求することが出来ます。
もしも、納得のいかない増額であったならば、大家さんに家賃が増額になった理由の説明を求め、また、近隣の同種の建物の賃料がいくらかを調べた上で、増額が相当かどうかを確認する方がよいです。
賃貸借契約書では、賃料および共益費の改定に関する記載がされていることが多く、「契約更新時の賃料増額は、その時の相場に合わせて決定する」、「契約期間中であっても、公租公課・諸物価の変動が著しく、近隣賃貸料との比較により、賃料が不相当になるときには、賃料の増額をすることができる」などの場合には、賃料を実質的に変更することができます。
また、賃借人が賃料の値上げに合意するには、値上げ額が妥当であることが重視されます。

■当事者間で話合いが付かない場合

借地借家法では、話合いが付かない場合でも、いきなり訴訟を提起することは認めず、調停前置主義を採用しました。

家賃が決定するまでの間の家賃の支払い

話合いや調停では、結論が出るまでは、家主は相当とされる額(近隣の相場等を考慮)の家賃を請求し続けることができ、借家人も相当とされる額の家賃を支払えばよいのです、
 そして、最終的に新しい額が決定したら、額が決定するまでに支払われた家賃と、新たに決定した額に差額がある場合には差額分に年1割の利息を付けて互いに精算することになります。なお、一定の期間家賃の増減をしないとする特約がある場合には、増額を請求することはできませんが、この場合でも減額請求はできます。

家賃の増減額請求の手続き

契約で定めた家賃でも、事情によってはその後に額を変更することもできます。額の変更について、当事者間で話し合いがつかない場合には、まず、簡易裁判所に調停の申立を行います。調停をしないで、いきなり訴えを提起しても原則として調停に付されることになります(調停前置主義)。
調停で当事者の合意ができた場合には、調停調書が作成され、この調書は判決と同じ効力を持ちます。
一般の調停の場合には、合意ができなければ調停は不調ということで終ります。しかし、家賃の増減に関する調停の場合には、特別な手続きが認められています。
調停委員は、合意が成立する見込みがない場合や、成立した合意が相当でないと認めた場合には、調停申立後に当事者間において調停委員会の定める調停条項に服する旨の合意(書面)がある場合に限って、適当な調停条項を定めることができるのです。そして、その調停条項が調停調書に記載されると、調停が成立したものとみなされるのです(民事調停法24条の3第1項)。
この記載は、裁判上の和解と同じ効力を持つものとされます(民事調停法24条の3第2項)。

■家賃と供託

家主からの家賃の増額請求に対して、借家人が増額に応じず、それまでどおりの家賃の額を払おうとしても家主が受け取らない場合があります。
こうした場合には、借家人が供託所(法務局・支局・出張所)に供託することで、債務不履行責任を問われることを回避することができます。
供託とは、家賃の値上げまたは値下げに関して貸主・借主双方の意見がまとまらず、従来通りの支払いをしようとする借主に対して、その金額に納得のいかない貸主が支払い拒否をするなどで、借主が債務不履行(受け取り拒否による家賃滞納など)で不利益(家賃滞納による契約の解除)を得ることがないようにするための手段です。供託をすることによって、家賃を支払ったことと同じ効果を持つことが出来るため、貸主から不払いと言われることも、ましてや、不払いを理由に契約を解除などと言われる心配がなくなります。
また、供託が受理されると、その控えが貸主・供託者(借主)に返され、さらに法務局でも保管されているのでトラブルを避けられる結果にもなります。
供託の方法としては、
①郵便用の封筒に大家さんの住所と氏名を宛名書きし、80円切手を貼ったものを用意し、
②契約書上で家賃の振込先となっている場所の住所を管轄している法務局(またはその出張所もしくは支局)に行き、「供託書(地代・家賃弁済)」をもらい、記入をし、捺印を押し、
③供託する賃料を封筒及び供託書に添え、窓口に提出することで供託が完了
となります。
なお、供託する金額は値上げ前の賃料に借主が妥当だと思う金額を上乗せした金額になります。
また、大家さんの所在が不明または長期不在によって支払いが困難な場合や契約の解除を理由に家賃の受け取り拒否をされている場合にも供託を行うことが出来ます。

■共益費の増減請求

共益費とは、通常、マンション等の共有部分の管理費用のことをいい、廊下、トイレなどの掃除費用、エレベーター、冷暖房などの維持管理費などがこれに該当します。
共益費の増減に関して、契約に定めがあればそれに従うことになりますが、定めがない場合には、借地借家法32条の賃料増減額請求権の規定を類推適用することになります。借地借家法32条(借賃増減請求権)
建物の借賃が、土地もしくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地もしくは建物の価格の上昇もしくは低下その他の経済的事情の変動により、または近傍同種の建物の借賃に比較し不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。

(三)新しい家賃の決め方

家賃の増額請求、あるいは借家人の減額請求で、その額をいくらにするかは難しい問題です。決着がつかなければ、最終的には鑑定評価に委ねることになります。

■新家賃を決める話合い

家賃の増減の請求をする場合には、いくらの増減をするかを決める必要があります。家賃の増減の請求は、一般には形成権といわれ、一方的な請求により、その効力が発生します。借家人は新家賃の支払義務があるのですが、その額に不満であれば、新家賃が決まるまで、相当と思う額の家賃を支払うか、あるいは家主が受け取らない場合に、供託すればよいとされています。
しかし、通常は、家賃をいくら増減額したいということで、相手方と交渉することになります。この場合、相手を納得させるためには、家賃を増減額する根拠が必要となります。

■家賃の相当賃料

借地借家法では、家賃が不相当となったときは、その増減を請求できるとしています。したがって、家賃の増減の場合には、相当賃料がいくらなのかが問題となります。
 家主と借家人との話合いでは、隣近所にある同程度の借家の家賃との比較が最も分かりやすく、現実的なものでしょう。こうした事情は街の不動産さんがよく知っていますので、事前に話を聞いておくとよいでしょう。

■鑑定評価による新家賃

どうしても話合いがつかない場合、法的手段として調停の申立をした場合、通常、家賃の相当額の鑑定評価をすることになります。相当家賃の算定方法には、①スライド方式、②利回り方式、③比準方式(賃貸事例比例方式)、④差額配分方式、⑤倍率方式などがあります。なお、鑑定評価については、不動産鑑定士が行います。

民事調停法24条の2②(家賃の増減額請求事件の調停の前置)
借地借家法第11条の地代もしくは土地の借賃の下区の増減の請求又は同法第32条の建物の借賃の額の増減の請求に関する事件について訴えを提起しようとする者は、まず調停の申立をしなければならない。

(四)更新料

更新料は、借主が賃貸借契約の期間満了後に、契約更新をする上でお礼として貸主に支払う金額のことを言います。更新料に関する規定は法律上なく、借主・貸主双方間における契約書などの中で、特約として結んでいなければ、更新料は発生せず、借主に支払う義務はないです。よって、借主・貸主双方が一定の金額を定め、借主が支払うことで、お互いの信頼関係を維持することが出来ます。更新料については多くの契約書で取決めがあり、家賃1か月分前後の更新料を契約更新の際に支払うことになります。
また、更新日よりも前に解約したならば、更新料を支払う必要がないかというと、必ずしもそうとは言えず、契約書の中で、「契約満了1か月前までに借主・貸主双方のどちらからも契約解除の申し入れがなされなければ、契約を更新とする」などの自動更新に関する特約が記載されていれば、更新解除の申し入れが満了1か月未満であれば、更新料が発生し、支払うことになります。
さらに更新後の契約では、貸主側の好意によって、借主側による一方的な解約権が認められる条項が定められていることもあります。その場合、借主は契約期間の途中で解約することができます。
しかし、契約書にそのような条項の記載がない場合には、途中解約は出来ず、更新の際に定められた契約期間内は借り続けることになります。
ただし、更新料の支払いがなく、さらに更新契約書の交換がない状態で自動更新された場合は、期間の定めがないことになり、いつでも借主から解約を申し出ることが可能になります。

賃貸借契約では、通常2,3年ごとの契約期間が設けられ、契約期間が満了になると、契約を更新することによって、同じ部屋を同じ期間借りることが出来ます。そして、契約を更新する際には、「更新料」というものが発生し、その「更新料」を家主さんに支払われるのが一般的です。なぜなら、「更新料」は部屋を更新してくれた大家さんに対するお礼のようなものなのです。
しかし、必ずしも更新料を支払わなければならないものではなく、法律の中でも特別規定はないのです。そして、家主が契約期間満了の前6か月以上1年以内の間に「正当な事由」による更新拒否の意思表示をしていなければ、賃貸借契約は更新されたものとなります。
また、契約書に更新料に関する特約があるならば、必ず更新料を支払わなければならないとされており、一般的に使用されている契約書にはたいてい「本契約の期間が満了した際は、賃料1か月分の更新料を支払うことで更新が可能です」のような文言が書かれています。
ただし、契約書の中では更新料についての記載がなかったとしても、地域によって定められた慣行があり、それに則って誰もが支払っているような場合は、支払い義務があると考えられるので、請求された場合は、不動産会社や家主と話し合うことが必要となります。
もしも、更新料の額が3か月分以上であった場合、毎月の賃料が相場よりも極端に低くおさえられているというような何らかの事情がない限りは、法律的に問題があると言えます。請求された更新料が高すぎる場合は、最寄りの簡易裁判所に調停を申し立てて、更新慮を下げてもらう手続きをするべきです。
更新料とは一般的に、賃料の補充または、更新承諾料などと言われますが、実際には、色々な要素を複合させたもののことをいいます。
また、更新料は、法律に基づいたものではなく、当事者間で更新料を支払うという旨の合意がなされた上で、発生するものです。よって、更新料の性質については、当事者間における合意および解釈によって定められるものであると解釈されます。
さらに、賃貸借の法定更新にあたり、更新料を支払うべき義務が当然生じるという慣習は存在しないとされてはいますが、更新にあたり、当事者が合意の上で更新料を支払うと定めたのであれば、それをあえて否定する必要はないのです。実際に賃貸借契約において、当事者間で、更新料を支払うことは当たり前ということ、更新料の授受によって当事者間が更新を認めるという一種の和解契約であること、賃貸人および賃借人が共に利益を受けるという合理的なものであることなど、更新料が不当なものとして扱われていない限りは、借地借家法9条に違反しているといえないと判断されます。

(五)敷金・保証金

敷金は、不動産の賃貸借契約において、大家さんが契約時にあらかじめ家賃数カ月分を賃借人から預かっておくもので、賃貸借契約中に、家賃の滞納や備品の破損など、賃借人の債務不履行が生じた際の担保として、賃貸人に交付される金銭のことをいいます。(同じような趣旨の金銭で、保証金と言われるものもありますが、保証金についての規定は民法の中では、定められていません。ちなみに、敷金については、民法619条2項などに規定が定められています。)
そして、賃貸借契約が終了した後に、賃貸人は、家賃の滞納や備品の破損といった賃貸借に対する債務を敷金から差し引き、敷金から債務にかかった費用を引いた残りの残額が賃借人に返還されることになります。
賃貸借契約中に敷金返還請求権を他の第三者に差し押さえられたとしても、賃貸借契約が終了するまでは、賃貸人が敷金を預かっておくことも可能ですし、また、契約が終了したとしても賃借人の債務分を回収後の残額が差押えの対象になるに過ぎず、敷金に関しては、賃貸人が優先して返済してもらうことができます。
さらに、敷金は賃貸借契約時に前もって預かることができる担保なので、連帯保証と比べると、確実性のある回収方法であるといえます。
そもそも、部屋を貸す側からすれば、賃貸借した際に、借主が毎月きちんと家賃を支払ってくれるか、また、借主の不注意で壊された備品などの修理代金を支払ってもらえるかなどの不安があります。賃貸人のこのような不安を少しでも軽くするために敷金があるのです。
ただし、契約書の中には「明け渡し後一定期間が経たないと敷金を返還しない」と記載されているものもあります。これは、部屋の破損状態がどうなっているのかを賃借人の退去後に大家さんが調査させるための期間であり、この破損状態によって敷金をいくら返還するか算出するのです。なので、敷金がすぐ返ってくることをあてにしているのであれば、前もって大家さんか不動産会社の担当者に確認を取っておいた方がよいです。
中には、敷金を預けているからその分の滞納は大丈夫だと思う人もいますが、そのような考え方はやめるべきです。大家さんは常にいつ滞納されるかなどの不安があるため、一定分の敷金は預かっておく必要があるのです。
また、アパートやマンションの場合、原状回復義務の際の修繕費用に敷金があてられることも考えられます。
原状回復とは「賃借人の居住・使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常を超えるような使用により損耗・毀損を復旧すること」と定義されており、原状回復の修繕にかかった費用に関しては賃借人が負担するものであるとされています。ただし、年数が経つにつれて変化することはいた仕方ないものに関しては、通常の使用による損耗等の修繕費用は賃料に含まれているものとし、この場合の原状回復は、賃借人が借りた当時の部屋の状態に戻すことではないとされています。
ただし、通常の使用と言っても、どこまでが通常なのかはその範囲が極めて広いため、判断基準を定義することが困難となっています。なので、建物価値の減少ととらえられる損耗等の一般的なものを区分し、復旧費用の負担の有無、また、どのくらいの費用がかかるかを検討することが必要であるとされています。

①A:賃借人が通常の住まい方、使い方をしていて発生すると考えられるもの
②B:借人の住まい方、使い方次第では発生も考えられるが、発生しないとも考えられるもの(明らかに通常の使用の結果とはいえないもの)
③A(+B):基本的にはAであるが、その後の手入れ等賃借人の管理が悪く、損耗等が発生又は拡大したと考えられるもの
④A(+G):建物価値の減少の区分としてはAに該当するものの建物価値を増大させる要素が含まれているもの(BおよびA(+B)については賃借人の負担の検討が必要)

以上のことから、壁などに釘を打つことや、木ネジ式の物掛けをさすことも「破損」とみなされるので、出て行く際の破損状況によって、修理代金として、敷金から差し引かれることが考えられます。

一般的に借主が退去時に敷金から差し引かれるものは、滞納している家賃や、借主の故意または過失によって、借りている部屋、あるいは、元から部屋に設置されている備品を破損させてしまったときの修繕費など、貸主に対して支払わなければならない債務のみとされています。

これに対して、壁紙や畳など、生活をしているうちに当然傷んでしまうものに関しては、家賃の中にもともと減価分を含んでいるため、敷金からは差し引くことはしないと解釈されています。ただし、画びょうや釘を打つことなど、賃借人が、故意的または過失によって例外もあります。

そもそも敷金とは、不動産の賃貸借契約において、賃借人が賃料の滞納や備品の破損などの債務が生じた際に担保とするために、賃貸人に対して交付される金銭のことを指します。(同じような趣旨の金銭で、保証金と言われるものもありますが、保証金についての規定は民法の中では、定められていません。ちなみに、敷金については、民法619条2項などに規定が定められています。)
敷金は、家賃の滞納など、賃貸借契約における賃借人の債務不履行が生じた際のために、担保として賃貸人に預け入れることになっている金銭のことをいいます。賃貸借契約が終了した後に、賃貸人は、賃貸借に対する債務を敷金から差し引き、残りの残額を賃借人に返還することになっています。もしも、賃貸借契約中に敷金返還請求権を他の第三者が差し押さえたのであっても、賃貸借契約が数終了するまでは、預かっておくことも可能ですし、契約が終了したとしても賃借人の債務分を回収後の残額が差押えの対象になるに過ぎず、敷金に関しては、賃貸人が優先して返済してもらうことができます。
さらに、敷金は賃貸借契約時に前もって預かることができる担保なので、連帯保証と比べると、確実性のある回収方法であるといえます

ですが、壁紙の張り替えの費用だけにとどまらず、傷1つない畳の張り替え費用まで敷金から差し引かれているということは、明らかに問題があると言えます。

よって、借主は壁紙や畳など自然に傷んだものに関しては、新しいものに張り替える義務(原状回復義務)はなく、さらに、損耗の修繕費用は、家主の負担となるものなので、不動産会社にその旨を説明し、再度、清算をしてもらうよう要求するべきです。

ただし、契約書の中には、「畳や壁および襖などの修理・取替は借主の負担において行う」のような特約が記載されているものもありますが、このような特約は借主が自身で修繕の請求をすることが出来ないことを言っているのであって、修繕にかかった費用を借主が負担しなければならないという義務ではないのです。あくまでこのような特約は、原則貸主の修理義務を免除するだけにとどまり、借主が修繕費用を負担するためではないとされています。

(六)原状回復

原状回復は「賃借人の居住・使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常を超えるような使用により損耗・毀損を復旧すること」と定義され、原状回復を行うにあたり、かかった費用は賃借人が負担するものであるとされています。ただし、年数が経つにつれて変化することはいた仕方ないものに関しては、通常の使用による損耗等の修繕費用は賃料に含まれているものとし、この場合の原状回復は、賃借人が借りた当時の部屋の状態に戻すことではないとされています。
ちなみに、通常の使用とは、その範囲が極めて広いため、判断基準そのものを定義することが困難であるといえるが、建物価値の減少ととらえられる損耗等の一般的な事例を以下のように区分して、復旧費用の負担の有無の検討が必要であるとしている。
A:賃借人が通常の住まい方、使い方をしても発生すると考えられるもの
B:借人の住まい方、使い方次第で発生したり、しなかったりすると考えられるもの(明らかに通常の使用の結果とはいえないもの)
A(+B):基本的にはAであるが、その後の手入れ等賃借人の管理が悪く、損耗等が発生又は拡大したと考えられるもの
A(+G):建物価値の減少の区分としてはAに該当するものの建物価値を増大させる要素が含まれているものBおよびA(+B)については賃借人の負担の検討が必要
となっています。
そもそも、賃貸借契約とはいえ、借主が壁紙を張り替えたり、あるいは、畳の上に絨毯を敷いたりなど、部屋を自身の好みに改装をし、住むということが一般的になっています。このような簡単に入居時の元の状態に戻すことが出来る状態であれば、大家さんの承認もなく、行うことが出来ます。
ただし、壁や床に穴を空けたり、また、部屋の本体を破損させるなどの改装を行う際は大家さんに許可を取る必要があり、無断で行った場合は契約を解除する理由になり得ます。
また、契約を解除するにあたり、賃借人は、賃貸人から賃借物を借りている以上、返還するまでは、善良な管理者の注意を持って、賃借物を保管することになります(民法400条)。賃借人が善管注意義務を怠り、賃貸人に無断で賃借物を増改築した際には、債務不履行となり、賃貸人が相当の期間を定めた上で原状回復を求める催告を行うことになります。
しかし、催告をしたにも関わらず、賃借人が原状回復をしなかった場合は、賃貸人に解除権が発生することになります(民法541条)。
賃貸借契約終了に基づく、無断増改築を原因とした建物明渡請求権の要件事実は、
①当該建物について、当事者間で賃貸借契約を締結していること
②賃貸人が当該建物に基づき、賃借人に対して本件建物を引き渡していること
③賃借人が賃借物の増改築をしたという事実があること
④賃借物の増改築について、賃貸人が相当期間を定めた上で原状回復をするように催告をしていること
⑤催告の際に定めた相当期間を経過していること
⑥賃借人に対して、催告の際に定めた相当期間の経過後、賃貸人が賃貸借契約を解除する意思表示をしていること
と、なります。
借主が改装をした場合、部屋を空け渡す際に、借主自身で入居時の元の状態に戻す必要があります(民法616条、597条1項)。その戻す費用のことを原状回復費と言います。
大家さんの了承なく、借主が改装を行った場合、原状回復費は借主が負担しなければならず、その費用は、敷金から差し引かれることになります。
ちなみに敷金は不動産の賃貸借契約において、賃借人が滞納賃料や備品の破損などの債務不履行が生じた際に担保とするもので、賃貸人に対して交付される金銭を指します。(同じような趣旨の金銭で、保証金と言われるものもありますが、保証金についての規定は民法の中では、定められていません。ちなみに、敷金については、民法619条2項などに規定が定められています。)
賃貸借契約が終了した後に、賃貸人は、賃貸借に対する債務を敷金から差し引き、残りの残額を賃借人に返還することになっています。
ただし、大家さんの了承を得た上で改装をした場合、了承を得る際に「同意はしても、退室時にもとに戻すこと」などの約束(原状回復請求権の留保)がある場合は、了承なしのとき同様に、借主の負担になりますが、特別そのような約束がなかったときは、原状回復費は発生しないということになります。
また、大家さんの了承を得ているのであれば、「造作買取請求権(旧借家法5条、現行借地借家法33条1項)」や、「有益費償還請求権(民法196条2項)」によって、大家さんからお金を支払ってもらえる制度もあります。ただし、よほどの金額をかけるなどしない限りはあまり関係のないことです。

2020-03-19 15:45 [Posted by]:BMB