借家人の近隣妨害等と契約解除

隣人・周辺環境の問題では、騒音、漏水、ペット、共用部分の使用、日照・景観、汚臭などさまざまなトラブルが挙げられます。日常生活の中のほんの小さな問題から大きなトラブルへと発展してしまうことも少なくはないのです。近隣妨害と呼ばれるものには、①ペット飼育、②騒音、③借家人の暴力などがあり、最終的には契約解除できるかどうかが問題となります。

■近隣妨害とは

アパートや賃貸マンションは、貸借人の共同生活であり、近隣住民に迷惑をかけないことも大切です。 こうしたことから、賃貸借契約書で「ペット禁止」や「ピアノ・ステレオ等の音で迷惑をかけない」などの迷惑行為の禁止の特約を結ぶケースが多くあります。

■近隣妨害の禁止特約と契約解除

こうした特約は原則として有効で、家主は違反があった場合には、特約違反を理由に契約を解除することができます。ただし、違反の程度が軽微な場合には、契約解除が認められない場合もあります

■特約がない場合

前記特約がない場合はどうなるでしょうか。特約がないからといって、こうした近隣妨害が許されるわけではありません。 建物などの賃貸借では、賃貸借契約に基づく信義則上から、当事者に当然要求される義務があります。この義務に違反し、信頼関係が破壊された場合には、契約を解除できることになります。 どういうケースで契約解除ができるかについては、ケース・バイ・ケースであり、結局は判例を分析するしかないでしょう。

■借家人が他の借家人を追い出せるか

借家人は建物を賃借しているだけです。したがって、隣の借家人に暴力を振るわれたとしても、その借家人に対して、出ていくようにいう権利はありません。こうした問題が生じた場合には家主と交渉することになります。家主は、苦情が出れば、対応せざるをえないからです。

民法1条(民法の基本原理) ①私権は、公共の福祉に適合しなければならない。②権利の行使および義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。③権利の濫用は、これを許さない。
2020-03-19 15:57 [Posted by]:不動産の弁護士・税理士 永田町法律税務事務所