更新をめぐるトラブルと解決法

借家契約の更新に関して最も問題となるのは正当事由の判断です。家主の側から更新を拒絶するには、かなり厳しい条件が付されています。

■更新しない旨の合意

借家契約を締結する際には、多くの場合は貸す側の立場が強い系項にあるようです。そこで、家主の事情によっては、貸した建物が借家期間満了によって必ず返却されるように、契約書に「更新を認めない」などという条項(特約)を入れることがあります。 このような特約は、借家人に不利な特約として無効となります。これは、最初の存続期間が満了した後に、更新契約の際に「更新は今回に限る」という特約を付した場合でも同じです。 ただし、定期借家契約の場合は期間の満了で契約は終了し更新はありません。

■立退料の支払いと更新拒絶

正当事由の判断の際に、家主からの建物明渡しと引換えに借家権者に対して財産上の給付をする旨の申出」が問題になることがあります。 ここでいう財産上の給付とは一般に言う立退き料のことですが、立退料を支払えば、それで更新を拒絶できるというものではありません。立退料の支払いは、あくまで補助的な正当事由の一要素に過ぎないからです。

■更新拒絶と裁判手続き

家主は更新を拒絶したいが、借家人は更新を認めてほしいという場合には、まず話し合うことが大切ですが、話合いがつかなければ、法的手続きによって解決するしか方法がありません。 結局は、家主が建物明渡しの調停あるいは訴訟を起こすことになります。 訴訟になった場合には、裁判所は家主に正当事由があるかどうかの判断をすることになります。

2020-03-19 15:59 [Posted by]:不動産の弁護士・税理士 永田町法律税務事務所