手付金の支払い後の解約申し入れ

手付金を支払った後、借主の理由により契約のキャンセル(解約)を希望した場合、借主が手付金として支払った金額を放棄(返還なし)することで解約は完了します。 しかし、解約申し入れ後に手付金の残額として、不動産会社から請求をされた場合、まずは正当な手付金の金額がいくらであるかを確認する必要があります。一般的に手付金として支払う金額は契約金総額(前家賃や敷金、礼金などの合計金額)の10%程度です。 また、手付金を分割払いにすることや、手付金の全部や一部を貸し付けるということは規定によって禁止されています(宅地建物取引業法47条3号)。 まず、手付の種類には、契約が成立したということをはっきりさせるための「証約手付」、契約をやめたいと思った際に、違約罰として没収するものである「違約手付」、契約当事者である双方のどちらかが、解約を望んでいる場合、買主が手付を放棄、あるいは、売主が手付の2倍の金額を支払うことで契約を解除することができるとされる「解約手付」が挙げられます。一般的に手付金とは「解約手付」と解釈されることが多いです。 ただし、解約手付はあくまで一般的なもので、契約書の条文で「解約手付ではない」と記載されていた場合には、たとえ借主が手付金を放棄したとしても当事者間で結ばれた契約を解約することは出来ないということになります。 さらに、手付が解約手付であったとしても、解約を申し出た際に、貸主がガスや電気など入居したときにすぐ使えるように手配した後であったならば、契約の実行がなされているということになり、解約をすることは不可能となります。

直後解約の場合の敷金・前家賃

正式に契約を結んだ場合、貸主・借主間の契約の中で、借主からの解約の申し入れが認められているのであれば、解約することも可能ではありますが、一般的に一度正式に契約を結んだのであれば、契約書の内容次第では、解約が出来ないこともあります。

解約が出来るか確認をするためには、まず、契約書の内容をよく読むことが重要です。契約書の中に「解約の申し入れ」や「期間内解約」など解約に関係のある条項があるか確認します。契約内容の中に「所定の予告期間(多くは1か月)分だけの賃料を支払うことで、契約期間内であったとしても解約をすることが出来る」というようなことが書かれていればあまり心配することはありません。

つまり、前家賃と敷金から、予告期間分の家賃を差し引いた分のお金が戻ってくるということになります。(ただし、予告期間が前家賃及び敷金の月数を上回った場合は不足分を支払う必要があります。)
しかし、このような条項がない場合では、借主の勝手で解約することは出来ないのです。
つまり、契約で定められた期間中は、借主はその部屋に住んでいなかったとしても、部屋を借り続け、家賃を支払い続ける義務があるのです。

2020-03-19 16:19 [Posted by]:不動産の弁護士・税理士 永田町法律税務事務所